事業をやっていれば多くが撤退をするのが現実です。ただ、表に出てくることは少ないのも現実です。ライブコマースサービスPinQulの事業撤退が騒がれていたので、今回は事業撤退をテーマに取り上げたいと思います。
ライブコマースPinQul1回目の資金調達
「ユーザーと近い世代の方がいいものを作れる」東大発・Flattがライブコマースアプリ「PinQul」公開
「(インフルエンサーマーケティングの中には)ある意味『信用を切り売り』しているような事例も多い。ブランドから言われた商品を自分のSNSで紹介しても、今のユーザーはそういう動きには敏感で反応が薄かったり、コメント欄が荒れたりするなど評判が良くない。PinQulではあくまで自分の気に入ったものを紹介してマネタイズできる仕組みを目指していて、その究極が自分で作ったアイテムを売ることだと考えている」(井手氏)
ライブコマースはメディアの一部のコンテンツとして機能すること、また、利益率が低いこと、0から立ち上げの難易度が高いこと、競合も増える予想から結構厳しい印象を受けていました。
以下、2回目の調達。
ライブコマースPinQul2回目の資金調達
ライブコマース「PinQul」が7人の投資家から2700万円調達、“接触数”を増やすべくメディア性の強化へ
「最初はアーカイブ動画をコンテンツとして残しておくことで接触数を増やせるのではないかと考えていたが、実際はあまり上手く機能しなかった。今は別の手段でメディア性をもたせることを考えている。具体的には常に見ていて楽しいコンテンツをアプリ内もしくは外部のプラットフォームとして育て、相性のいいものをライブで扱うといったスキームだ」(井手氏)
これだけの多くのエンジェルを巻き込む力はすごいなと思っていました。何かしらのM&Aは作って来そうな感じはしていました。
そして撤退へ。
ライブコマースPinQul事業撤退へ。
PinQulのクローズについて意思決定の経緯や反省、そしてFlattのこれからについて書きました。
PinQulをクローズします – niconegoto Bloghttps://t.co/vFyXGr1NCE— Koki Ide | Flatt, Inc. (@niconegoto) 2018年8月15日
既存の日本アパレル企業の多くがユーザーに向けてではなくバイヤーに向けた商売になっており、半分は在庫が残る前提での価格設定、同じOEMをつかって同じような商品を各ブランドが作り、売れ残りが生まれてはセールで売る、そういった現状に対して、KOLによるD2Cブランドは一定の解を示すことはできたし今後も増えていく流れなのではないかと思っています。 ただ、これだとアッパーとしては10年で300億くらいの会社を作るのが精一杯かなと感じました。
反省点としては、ピポッドの判断スピードと採用をあげています。
まず僕個人としての反省としては、局所解を追い求め過ぎてしまったというのが経営上の最も大きな反省です。 最初の仮説が当たっていなかったと気付いた時に、PinQulという既存のプロダクトベースで見えてきていた他の課題にどんどんフォーカスを移していき多くの小さなピボットを行ってきたのですが、本来であればPinQulというプロダクトに固執せず、完全にフラットな思考で一から仮説を立てていけばクローズの判断を早めることはできたと思っています。
サービス開始直後からすぐにサービスレベルでの採用を行ってしまったため、サービスをクローズすることで人数を縮小することになると会社として預かっている多くのメンバーの人生を変えてしまうことになるという重圧もこの局所解に走ってしまった一因だと思っており、採用をビジョンレベルで行うことやPMFするまで最小人数で運用することの大切さを改めて感じました。
撤退に対して業界内では次なる応援の声が多数ツイートされていました。
メルカリでインターンやってくれていた井手くんが作っていたPinQulがクローズ。このように振り返られる彼の強さがあれば絶対また違うもので成功してくれると確信。ナイストライだった!https://t.co/tq5s6bFK6c
— 小泉 文明/Fumiaki Koizumi (@Koizumi) 2018年8月16日
PinQulをクローズします – niconegoto Blog https://t.co/I5SL75C2ay
サービスのクローズやpivotの意思決定は本当に辛いもの。ユーザーがいる、メンバーもやりたがってる、そんな中でも理想の未来と現実のギャップを見極めて、意思決定していかないといけない。
いいブログ、引き続き超応援!
— あやたん (@ayatan48) 2018年8月16日
事業が失敗したことを認めて死後解剖のように分析するのは辛いことだ。でも、起業経験/失敗経験を言語化してキャリア/目標の糧にするのは非常に重要。大半の起業/スタートアップは失敗してしまうが、その際にきちんと向き合い言語化するべきだhttps://t.co/XMREPYXKfA
— Masa Tadokoro (@masa77707) 2018年8月16日
貴重なナイストライの記録。振り返り読むだけでも、リスク取って行動したことで本質的な学びしたのがわかるし勉強になる -PinQulをクローズします – niconegoto Blog https://t.co/zNFyfckJDk
— Junichi Akagawa @ミラティブ (@jakaguwa) 2018年8月15日
これピボットして成功するパターンのやつだ( ˘ω˘ ) / PinQulをクローズします – niconegoto Blog https://t.co/bAQnHKc9nL
— 野口卓也 (@nogutaku) 2018年8月15日
すごい良かった。
特に採用をビジョンレベルで、PMFするまで最小人員、webからやればの辺り。
株主ではないけど応援だ!https://t.co/InMND60iah— 赤坂優 (@yuakasaka) 2018年8月16日
やっぱり井出さんは大物だhttps://t.co/aGBHWOzpAe
— 宮田 昇始 (@miyasho88) 2018年8月15日
おまけで競合の状況。
ライブコマース競合
・メルカリチャンネル(上場済み)
・SHOPROOM(DeNAからMBO)
・Live Shop!(累計40.5億円調達)
・MimiTV(トレンダーズへ譲渡済)
・BASEライブ(累計約40億円調達)
・ラッフィー(2018/03終了)
・PinQul(2018/08終了)横並びで競合を見てみると、かなりシビアな状況だったのかなと感じる。
— Masayuki Kai @フォームラン (@Kai_MSYK) 2018年8月16日
きっと次は大きなホームランを打つことだろう。撤退は辛いことばかりではなく、応援してくれる人たちの声に触れることができ、成功のための通るべき道なのかもしれない。
事業撤退基準は
今回のように事業撤退できる人はなかなかいないのが通常です。撤退理由としては、数字の達成が難しいこと、方向性のズレが理由ということでしたが、まだまだプロダクトと向き合いやれることはあったような気がしています。やりきったと胸を張っていえるか?ここがスタートアップでは重要だと思います。大手企業の撤退の場合、多いのが仮に利益が出ていたとしても期待に対してのリターンが得られない場合は撤退するといったケース。スモールビジネスの場合はある程度利益が出ていれば継続ができるかもしれませんが、大手企業の場合は株主や様々な利害関係者がおり、他の市場に勝負した方がリターンが出せるのであれば、そちらにリソースをかけ、方向転換せざるを得ないのが現実です。
スタートアップと大手企業の事業撤退基準は違い、ここの違いを意識し、挑戦していくのも戦略の一つだと思います。大手企業が撤退した産業は、ゼロからの文化つくりをする必要がなく、残りカスを食べれる可能性が高く、大手企業が撤退したから、その産業にはチャンスがないとは思わずに挑戦していくのもありだと思います。
事業撤退の大きな理由としては以下があります。
- 経営の問題
- 方向性、ヴィジョンがなくなる
- 数字目標、マーケットが見込めない
- 人材(人間関係)