DMMが買収した主なベンチャー企業(2017年〜2018年)を比べてみました

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DMMが買収した主なベンチャー企業(2017年〜2018年)を比べてみました

昨今ベンチャー界隈でDMMの買収は常に話題になっています。2017年〜2018年でDMMはどのようなベンチャー企業を買収してきたのかまとめてみました。DMMに売却したい!という人はぜひ参考にしてみてください。

シナプス

DMM.comがオンラインサロンサービス運営のシナプスを子会社化

DMMが運営する「DMMオンラインサロン」は競合にあたるが、「最もサービスが伸びる手段を選択しようと、億単位の資金調達とバイアウトどちらも考えていた。いくつかオファーを頂く中で、ちょうどDMMの代表に片桐さんが就任された。オンラインサロンを牽引していくべき当社とDMM社が争っていても仕方ないし、片桐さんと一緒にマーケットを広げていくチャレンジをしたいと思い、今回の決断をした」(田村氏

社長の田村氏はシナプスを退任し、新たな会社を立ち上げポイントサービスを立ち上げましたね。

mint | 独自のポイントを作って、ファンに配れる無料アプリ

「シンプルだからファンが生まれる」連続起業家・田村氏が新サービス“mint”に込めた想い

紙のスタンプカードと違うのは、ポイントのやりとりのログが残るということ。そして、ポイント発行者とポイントをもらった人の間に“つながり”ができ、ポイント発行者はポイント保有者にさまざまなお知らせを「mint」を通じて送ることができる。

これまでは、例えばお店だったら、SNSでお店のアカウントやファンページをつくって、ファンや常連さんと交流したり、お知らせを送ったりしてきたと思うのですが、本来は身近でプライベートな関係の人と交流するSNSでそれをやるよりは、独立させたほうがお店側にもお客さん側にも使い勝手がいいと考えました。

もっとリアル世界でも、マスを相手にするのではなく、小さくても深くつながる経済圏でそこそこの収益を上げていく世界がつくれると面白くなるんじゃないかと思うのです。

興味深い話ですね。小さい経済圏的な文脈でコミュニティが生まれ、コミュニティ通過のfeverのようなサービスも徐々に盛り上がってきていますね。

田村氏のTwitterアカウント。

 

nana

サービスは法人登記前の2012年8月にスタート。2016年12月には世界累計300万ダウンロードを達成した。累計楽曲再生数は12億回、累計楽曲投稿数は3000万曲以上となっている。僕は前職から何度かnana musicの取材をしているが、代表取締役社長CEOの文原明臣氏はnanaを開発したきっかけについて、名曲「We Are The World」を世界中のユーザーで歌えるようにしたいといつも語ってくれていたのが印象的だった。

nanaのビジネスモデル。

POOL

DMM、クラウドストレージアプリ「POOL」と音楽アプリ「nana」の運営元を買収

POOLのユーザー数は現在160万人で、34億枚の写真が保管されているという。広告やプレミアムユーザー向けの課金を行ってマネタイズを進めているとのことだが、今後はPOOLのマーケティングを強化するのに加えて、新アプリの開発も進めるという。

CASH

DMMがあの「CASH」を70億円で買収するワケ

DMM.comって「現代のクールな総合商社」だと思うんです。スタートアップに足りない組織や資金や物流機能を持っていて、全面的に支援してくれるから、力のあるスタートアップがどんどん集まってくる。意思決定もものすごく早くてクールです。

そして買収から1年後に手放しました。

「敗軍の将語らず」 バンク独立のDMM、70億円で買収→5億円で手放す

 買収後、DMMグループが運転資金として20億円を貸し付け、「保有するサービス基盤や人材の提供を通じて、バンクの支援を推進した」(DMM.com)という。バンクは今年6月、代金後払いで旅行に行けるアプリ「TRAVEL Now」をリリースするなど、CASH以外の事業創出にも取り組んでいた。

TRAVEL Nowの事業展開がきっかけになったのではないかと思いますね。DMMも旅行事業DMM TRAVELやっていて、ユーザーを食い合う形もあったのかも。

cashのビジネスモデル。

終活ねっと

運営会社は2016年9月設立の株式会社終活ねっと

DMM、葬儀など“終活”情報ポータル提供する終活ねっとを買収ーー取得額は10億円程度か

終活ねっとは2016年9月の設立。創業から約2年というタイミングでDMMとのディールを受け入れた理由として、岩崎氏はDMMが持つリソースなどを活用して同社のビジネスを加速したかったと話す。「かねてより、ライフエンディングのNo1ブランドを目指していたが、リソースや経験の壁など様々な問題に直面することもあった。積極的にMAという手段を考えていたタイミングではなかったが、たまたま共通の知人の紹介でDMM側の担当者に会い、終活ねっとにはないものをDMM社がもっていると強く感じた。DMM社の力を借りることで、ライフエンディングのNo1ブランドへの近道になると思った」(岩崎氏)

代表の岩崎氏は東大出身ということで、こちらの記事にも掲載しています。東大生起業家を比べてみました

WEBCAMP

インフラトップを運営しているのは2014年11月設立の株式会社インフラトップ

DMM、プログラミング教育を展開するインフラトップを買収 DMMの村中悠介COO、松本 勇気CTOがインフラトップ取締役に

インフラトップは、 社会人向けプログラミングスクール「WEBCAMP」を運営しており、 約3000名の卒業生を輩出。 中でも転職に特化した「WEBCAMP PRO」は、 プログラミング未経験者が3ヶ月間でエンジニアになれることを保証する“転職保証”をつけたコースで、現在卒業生の転職成功率は98%、 転職後の離職率は0%となっている。

Voicyという音声アプリでWEBCAMPの売却秘話が語られています。

先週DMMにバイアウト!ここから爆速インフラトップ!

 

DMM VENTURES

DMM.comはマイノリティ出資を行う「DMM VENTURES」を設立しています。

DMMが100億規模のファンド設立、若手起業家支援の目的で比率1〜5%のマイノリティ投資へ

DMM VENTURESについて、亀山氏は壇上で「将来的な買収が前提。失敗してて、売らないといけないというときに『売ってよ』と言いやすいように。1社あたりは数百万とか数千万くらいの規模で、どちらかと言えば早めに人間関係をつくることなどを求めている」とコメントした。

CVCでいうとメルカリ、DMM、クルーズあたりが目立った活動をしているように感じています。

クルーズが経営者育成に100億円準備ーー小渕氏に聞く、グループ経営移行と「起業エコシステムのつくり方」

 

クルーズがVCファンド 運用者は25歳笠井氏

クルーズが投資事業本腰、25歳の笠井レオ氏が代表「Sevenwoods Investment」設立【追記あり】

グループ内に100億円クラスの時価総額、売上規模を持つ企業を100社集めることで1兆円の価値を社会に対して生み出そうというチャレンジで、この中核を担うエンジンが「株式保有インセンティブ」になる。

企業内起業やM&Aなどでグループ入りする企業や起業家は一定量の株式を保有してそのまま経営にあたる。その後、5〜6年たって売上100億ほどの事業に成長させれば二桁億ほどのインセンティブが提供される、という仕組みになるそうだ。

小さい市場で人と金の奪い合いをするのは無駄だし、グループで合従軍を作ってノウハウを共有した方がもっとスケールが大きくなる。インセンティブの設計も自身でスタートアップするリスクと天秤にかければメリットを感じる人もいるだろう。さらに言えばSHOPLISTにこだわらず、自由な企業群を広げればいい。

 

Sevenwoods Investmentのパートナーの笠井氏はVC立ち上げる前に自ら会社の立ち上げ経験があるようですね。

株式会社Prosbee(プロスビー) 代表取締役CEO 笠井レオ

そういえば、クルーズのCFOである稲垣氏はTwitterで積極的に情報発信していますね。

 

DMM買収一覧比較図

シナプス nana POOL CASH 終活ねっと WEBCAMP
会社設立日 2007年4月 2013年4月 2014年7月 2017年2月 2016年9月 2014年11月
サービスコンセプト オンラインサロンプラットフォーム スマホでつながる音楽コラボアプリ 写真が保存し放題のアルバムアプリ 目の前のアイテムが 一瞬でキャッシュに変わるアプリ 墓地・霊園など、様々な終活サービスの比較サイト Webスキルのパーソナルジム
マネタイズ 手数料 月額課金(フリーミアム) 月額課金(フリーミアム) 手数料 広告 受講料
分野 オンラインサロン メディア(音楽CGM) ツール(C向けストレージ) C2C(即時買取) メディア(葬儀) EdTech(プログラミング)
ユーザー数 1万人(有料会員)*1 500万人*2 160万人*3 不明 不明 3000名(卒業生)*4
売却額 4億円?(予測) 不明 不明 70億円 10億円 不明
売却までの期間 9年10ヵ月 3年9ヵ月 2年7ヵ月 9ヵ月 2年3ヵ月 4年

*1:2016年6月時点

*2:2017年10月

*3:2017年1月時点

*4:2018年11月時点

DMMがベンチャー企業買収に力を入れ始めたポイント

pixiv創業者の片桐の社長就任

自らもベンチャー企業の社長として、会社を大きくさせた実績とベンチャー界隈に関して詳しく若手ながらのスピード感がこれまでの買収劇に大きく影響しているのではないだろうか。

DMM社長に34歳外部人材が選ばれた全事情

これまでは会長の亀山氏がネット事業や新規事業を担当し、その他の部門を社長の松栄氏など創業期のメンバーが担当してきた。しかし「テクノロジー企業になるためには、ネットに詳しい若い経営者に舵取りを委ねるべき」(亀山氏)と判断し、34歳の片桐氏を抜擢した。

片桐氏Twitterアカウント。

元グノシー松本氏がDMMの新CTO就任

グノシー元CTOの松本氏が入ったことによりDMM全体のサービスの向上はもちろんのこと、買収先のサービススケールアップを図ることができるだろう。ちなみに松本氏は2018年12月時点で29歳という若さ。

元グノシー松本氏がDMMの新CTO就任、『モチベーション×能力』で測る組織づくりへ

「自分が最高経営責任者に就任するとき、亀山さんとも『DMMが今よりももっとテック寄りの企業になれたら成長が加速する』と話していた。僕が呼ばれたのもそのためだ。それを実現するために、技術的な方針を示してくれる人、エンジニアの見本となるような人物が必要だと思っていた」と片桐氏は話す。

元グノシーの「DMM新CTO」松本勇気が抱く夢

今後のDMMが仕掛ける買収、施策が気になります。